連載中の人気コミック「ちはやふる」の映画版を観てきました。原作を読んだことはありませんが、私は百人一首が好きなのです。国文科出身で、ゼミで女流日記文学を専攻していたので、平安時代が好きです。
映画のタイトル「ちはやふる」を知ったとき、まさか在原業平のアレ?と思いました。これは恋歌です。「ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれないに水くくるとは」という歌です。プレイボーイと言われる業平が天皇の后になったかつての恋人藤原高子を思って歌ったとされます。
映画について
大変面白かったです!!コミックを知らない私でもすぐに溶け込めました!展開もスピーディです。「競技かるた」の存在も初めて知りました。テニスのように体力を使い、とてもハードなので高校生でないと体がもちそうにありません(笑)札を取るのが目的なので、歌本来のみやびなイメージはありません。
とても爽やかなお話しです。恋あり、夢あり、友情あり、挫折あり、大人も高校生たちを温かい目で見つめ、ときに導き諭す。自分で気づかせる、意見を押し付けない立派な大人たちが描かれています。仕事でもなく、お金でもなく、目の前のことを必死にやり遂げる姿に思わず涙する素敵な作品です。かるた大会で、生徒たちの袴姿も似合っていていました。
原作はこちら↓
監督・脚本、音楽
この映画の監督・脚本は小泉徳広さん、1980年、東京都生まれ。「タイヨウのうた」で監督デビューした方です。新人の大原櫻子を発掘したことでも話題に。
音楽は横山克さん。1982年11月3日、長野県生まれ。「悪夢ちゃん」(12年/日本テレビ)などを手掛けた方です。どちらもお若いスタッフでこの映画のスピーディーさはここからきているのでしょうか。「ちはやふる下の句」は4.29」からです。GWに完結するんですね。
百人一首
百人一首は藤原定家(ふじわらのていか)が編纂した(選んだ)とされています。諸説ありますが、かるたとして有名な百人一首は襖(ふすま)の飾り絵だったのです。これは藤原定家が日記「明月記」で襖の色紙型を書いて贈ったと書き残しています。100首あるうちほとんどは恋の歌です。藤原定家が選んだ当時、古いものは600年前の歌もありました。
私は77首目の次の歌が昔から好きです。映画でもたびたびこの一首は出てきました。
”瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢わんとぞ思う”
意味は、岩にぶつかった川の流れが一度二手に分かれても、また一つになるように、私たちも今は別れても必ず再び逢おう、というものです。
大事な人との別れは辛いのですが、このような気持ちを持ちつづけ再び逢えるといいなと思います。