劇団四季自由劇場にてこの秋「壁抜け男」が上演されます。この作品はフレンチミュージカルです。
といっても、「1789バスチーユの恋人たち」のようなロックミュージカルではなく、パリのまじめに働く平凡な男性が「壁を抜けられる体」を手にし、様々な世界を見ることや、妄想もあり、いたずらもあり、等身大で主人公のイメージを感じられる舞台です。
恋模様もあり、最後はちょっと切ないです。平凡な人生だからこそ、しみじみ心に余韻が残ります。そして最後は、こんな人生もまた素敵と思える作品です。
原作はこちら↓
フレンチミュージカル
フランスの国民的作家マルセル・エイメの原作小説。
フランス文学界の最高峰・ゴンクール賞を受賞したディディエ・ヴァン・コーヴェレールによる脚本。
『シェルブールの雨傘』で知られる巨匠ミシェル・ルグランが奏でる珠玉のメロディー。
1997年にパリで開幕すると異例のロングランを達成し、1999年には日本へ、2003年には本場・ブロードウェイ進出も果たしました。
切なくも美しいフィナーレで巻き起こるのは“人生は素敵! 人生は最高!”の大合唱です。
アコーディオンのメロディーが似合う、パリのカフェでお茶を飲みがら聞いていたいようなパリを感じる舞台です。
あらすじ
真面目さだけが取り柄の独身男・デュティユルは、役所のクレーム処理係として平凡な毎日を送っていました。
ある日の夕方のこと。 なんの称賛も冒険もない代わりに静かでのんびりしたこの暮らしを、デュティユルはそれなりに気に入っていました。
一人暮らすモンマルトルのアパルトマンでは、趣味の切手集めとバラの手入れが待っています。仕事を終え、あたりはすっかり黄昏時になっていました。
ちょうどその時です。突然の停電で、廊下が暗闇に覆われてしまいます。
しかし、驚いたのは明りが点いたときでした。なぜか扉の向こう側、部屋の中に自分が立っていたのです。
デュティユルは、気が狂ったのだと思い込んで精神科医のもとに駆け込みます。
しかし、壁を抜けて入ってきた彼を見たアル中の医者は、驚きもせずに長々しい病名を告げ、「女にだけは気をつけろ。本気で惚れたら壁から抜けられなくなる」と忠告するのでした。ささやかな人生に戻りたいと願うデュティユル。
心の中に”この力を試してみたい”という欲望が芽生え始めてしまうのです。
帰り道、空腹だったこともあり、デュティユルはパン屋からパンを盗みます。しかし、実際にパンを手にすると食欲はなくなり、貧しい老人に与えてしまいます。
「新しい自分にできることはなんだろう?」
考えた末、次に向かった先は宝石店でした。ポケットに宝石を詰め込むと、今度は老娼婦に首飾りを掛けてやり、と英雄気分にひたるデュティユル。
彼の心はまだ満たされません。密かに想いを寄せる美しい人妻・イザベルの存在があったからです。
(公式HPより一部抜粋)
前回より感想
『シェルブールの雨傘』もそうでしたが、フランス作品はエンドがなぜか妙に悲しく切ないものが多い、そんな印象です。
平凡な人生から抜け出したいと思い、壁抜けができるようになっても結局、平凡な日常が幸せだっと気づきたと思います。
だからこそ、つまらないと思わず、腐らずささやかな幸せを噛みしめたいと思いました。
デュティユルが愛する女性の為に身を滅ぼしますが、それでもそのときは幸せだったのなら、良かったのかもしれません。
何がよくて何が悪いかという問題ではなく、私なりに現実の「ささやかすぎる日常」を幸せに感じようと思いました。
[…] また素敵と思える作品です。」 (引用:きーこのブログ) […]