「待ってる」の一言 博多座『川霧の橋』 感想

『川霧の橋』

背景は現在の浅草橋あたりなんですね。隅田川の下流のあたり。

大川、としきりに言ってますが隅田川のことなんですね。

ちょうど神田川と隅田川がぶつかる辺りは、屋形船があって、

そこでも芸者さんは呼ばれたのでしょうか?置屋もそのあたりにあったのかな…

浅草橋は今も問屋街で、昔は相模屋のような大店もたくさんあったかもです。

すごく、入りやすいストーリーです。

時代が変わっても、宝塚ではぴったりな配役になるのがすごいところ。

日本の町人文化っていいな、庶民も一生懸命と思う作品。

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感想

幸次郎  月城 かなと

仕事はできて気が優しい。好きな女性に一途。

魅力的すぎる幸次郎。何が悪いわけじゃない。

ただ女性ははっきり言ってくれた方がいいのかもしれない。

恋が破れても、人間として関わっていくのは素晴らしいです。

そして、運命を受け入れ、一度は諦めるのも大人です。

そのときはそれが正しいのかもしれません。

あとで風向きがかわることもある。人生はその時々で答えを変えていいのかもしれない。

幸次郎も柔軟で賢く、自分に素直だと思います。

お光   海乃 美月

少女の心に幼さゆえに同情と愛とを取り違えるは仕方ない。

しきりに会いに来る幸次郎のことをすげなく突き放すのも、

気があるのを気づけない幼さ。

しかし気丈で働き者のおみっちゃんの人生が健気で、幸せになってほしいと

願わざるを得ない波乱のヒロイン。

こんなに控えめで純粋なヒロインいるのか。。。

お組ちゃんのようになってもいいのに、健気に生きる姿感動です。

海乃さんは、情緒豊かに、しっかりとおみつを表現し芝居上手です。

半次  鳳月 杏

色気たっぷりいい男ですね~。鳳月さん。

半次も幸次郎並に一途で素敵です。

大火の後お組さんのために渡り職人をして影から見守っている、愛以外なにものでもない。

こんな控えめな愛ってありますか。

実ることがくても、お組みさんとの思い出は救いです。

清吉  暁 千星

いい人、優しい人が多い物語中、極悪人になっていく清吉。

暁さん悪役うまいです。憎々しかったです。

清吉も腕が立ち、真面目に働けば出世できそうな感じですが、

プライドも高く幸福感や金銭観がかけ離れていってます。

小りん  晴音 アキ

艶やかで小粋な姐さんでした。芸者姿がとても似合います。

柳橋付近で生活する人々はみな、職業関係なしに寄り添い助け合って生きていると感じます。

かつて日本はそうだったのかもしれません。

そんなことを感じるお役でした。

お組  天紫 珠李

ドラマティックなお嬢様。胸を悪くしたのは大火事で煙りを吸ったからでしょうか。

大店のお嬢様が夜鷹風になってしまうのは、仕方ないと思います。

あまりに人生を狂わされても、最後はおみっちゃんのところで死ねたのが救いです。

じゅりさんは、声がとてもきれいです。

お嬢様らしく丁寧ゆっくり喋るのも、綺麗な着物でシャリシャリ歩くのも可愛い。

半次が命をかけて救おうとするのも、お組の優しさや優美さを残したかったのでしょうね。

前回の記事↓

江戸の風情 月城かなと『川霧の橋』

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