日本初演30周年を迎えるレミゼラブル。久しぶりにレミゼを観劇したのですが、だいぶ変わった?一部はあっさり。一部後半から二部までは怒涛の感動の嵐。
一部があっさりな印象はキャストのため?それまでの理不尽さをサラッと流しているようなあっさり感。
それにしても、30周年記念の年にジャン・バルジャンを演じた福井晶一さんがすごい。去年私は「ジャージーボーイズ」で福井さんを観ましたが、低音で演技も無難と思いました。
しかし!!
今回はすごい!
感想
↑公演ドリンク「キュラソー・ベリー」
革命的なドリンクでパンチが効いて壮快です。
以前私はレミゼを理解できませんでした。パンを盗んで19年も投獄されるような時代、政策。フランスのような国でさえ格差・貧富が激しく、底辺の暮らしの中に生まれただけで抜け出せない。
それだけ現代日本に生まれたことは恵まれています。
この恵まれた現代に何を伝えたいのか?200年も経っていまだに作品が評価されているビクトル・ユーゴー。
生きのびるため人をだまし、人を貶め、傷つけ、それでも生きていたい。生きていたいからこそ「赦し」が必要です。
現代にも「赦し」は足りません。だから私たちは人を「赦し」合うことを認識しなければならない。そんな感想をもちました。
福井晶一(ジャン・バルジャン)
ジャン・バルジャンは当たり役です。福井さんだいぶお太りになりました!バルジャンを演じるに当たって、体格を鍛えた感じです。本当に、この役は神のようです。
他人のためにどこまで身を削れるのか?今までで一番、響きましたよ。
なぜ、人の窮地にバルジャンは登場するのだろう。なぜ、ここまで神ってるのだろう。慈悲、恩、赦し、彼にはそれらが備わっている。だから周囲から尊敬されるのでしょう。なぜ見返りも求めないのか?
そんな疑問を投げかけてくれます。
岸 祐二(ジャベール)
自分を絶対的正義だと信じて、職務の奴隷だったジャベール。正悪が逆転してしまうバルジャンとの出会いが衝撃です。いつもながら。
ジャベールの最期は橋の上から落ちますが、いつからCGも取り入れたのでしょう。映画のようでした。
岸さんも大柄の俳優さんで、福井さんの好敵手です。フィナーレのアンコールでは、お二人抱き合う仕草も見せ、信頼してるようでいい風景でした。
二宮 愛(ファンテーヌ)
レミゼのヒロインはコゼットだと思っていたのですが、二宮さんはファンテーヌがヒロインだったと思わせる作りでした。
工場での理不尽な対応、売春宿での絶望、失った愛。ひどいこと全部を有名な「夢やぶれて」の歌が浄化してくれるようです。この歌は本当に勇気が湧きます。
まだまだ頑張れる!!「夢やぶれて」はひとかけら以上の勇気がもらえる歌です。
生田絵梨花(コゼット)
生田さんのヒロインは「ロミオとジュリエット」以来です。期待通りの透明感な見た目と美しい声。シルエットもお嬢様が似合い、心優しくマリウスを迎えるのが微笑ましいです。
生田さんはまだ、お嬢様路線ですが、今後悪女やコメディも観たい女優さんです。
唯月ふうか(エポニーヌ)
唯月さんは、ガリガリでした。エポニーヌの貧困を表してるように思えます。歌が少しキンキンな感じでした。
エポニーヌという役が割りを食ってしまう悲しい役なので、初恋の男子のためには何でもしてあげたいそんな必死感、焦り、絶望がよく出ていました。
内藤大希(マリウス)
内藤さんのマリウスは良い役なのに、舞台上では小さくまとまった感でした。エポニーヌに想われながらも気づかず傷つける人間の残酷さや、コゼットを守り抜きたい男らしさはきちんと伝わりました。
上山竜治(アンジョルラス)
上山さんのアンジョルラス、超素敵でした~♡♡かっこよかったです。そもそもアンジョルラスは熱い男です。スケールの大きいアンジョルラスになって本当によかった!!
上山さんのお化粧、鬘が似合っているのか、とにかく他の同胞たちとは格段素敵でした。
橋本じゅん、鈴木ほのか(テナルディエ夫妻)
この夫妻はどなたが演じても強烈なんですが!
30周年記念は、二枚目の橋本じゅんさんがまさかのバカ夫!そして、美貌の鈴木ほのかさんが、その美を封印したメイクで悪妻!
この夫妻は悪党ではありますが、貧困でも革命でも生き抜く力強さがあり、市民の代表みたいな役です。
酒場の場面でお客の持ち物を盗みながら歌う橋本さん、演技はさすがです。
鈴木さんは、ガラガラ声にして意地悪で性格の悪すぎる妻を怪演していす。この役は森久美子さんのはまり役ですが、鈴木さんは美を醜に変えて個性が光っていました。