上記ポスターは2013年ですが、ルテアトル銀座にて黒とかげを観ました。
というのも、最近、美輪さんの新しい舞台、「毛皮のマリー」のチラシを見たからです。
どんな舞台か全然存じませんが、美輪さんの舞台には迫力と切実さを感じます。
黒とかげを観て
美輪さんは女泥棒黒とかげ。対する明智小五郎は木村彰吾さん。
この方30代前半らしいが、昔の俳優さんのようにダンディでセクシー。
七三わけでリーゼント風で背が高い。素敵だ・・・・・
美輪明宏さんの女役。
男性でありながら、結構な年齢なのに、この方の艶やかな色っぽさはなんだろう。
女性より女らしい、もろくて花びらのように散ってしまうはかなさはどうだろう。
美輪明宏さんの美しさに圧倒されました。
犯罪意識よりも、美しいものをこよなく愛す黒とかげ。
宝石と宝石商の娘を誘拐し生きたはく製にしようとするが、全く悪びれてない。
善悪なんて、自分の解釈ひとつで芸術的コレクションになりうるかもしれない。
そんな軽やかさがうらやましい。悪は悪と決めるほうが簡単で楽な世界に私たちはいます。
明智は、常識かつ大胆不敵で高慢な探偵。敵なのに、優雅で美しい黒とかげに惹きつけられる。黒とかげも追われる側なのに明智に恋してることに気づく。
互いに心で恋しあってる様が大人で素敵。
自らの恋心を相手に悟られるのを恥だと思い、最終的に追い詰められた時、毒を飲んで自害する黒とかげ。
普通は恋しい人に胸のうちを知ってもらいたいはず。
相手にも同じく想ってほしいはず。
恋してることを知られたから、黒とかげの誇りを失いたくないのだろうか。
私には誇りより相手の心がほしいのだが。命を捨てる誇りなんてないな。
セリフの美しさ
今一度見直したい、優雅な所作や言葉はきっと現代に生きていても大事だと思う。
三島由紀夫作品でもう一つ好きな舞台で「鹿鳴館」があります。
こちらも言葉が豊かで美しいです。美文であり、レトロチックな言い回しです。
優雅であること、気取りとは違う、美という意思だと思う。
この独特な世界観は美輪さんが適任だと思いますが、もしまた他の女優さんで黒とかげを上演したら行きたいと思います。作品は永遠に残りますから。