二都物語を観て
井上芳雄くん舞台、重厚なもののひとつ「二都物語」です。2013年7月の舞台です。
この作品は宝塚でも上演しました。主演は大地真央さん、黒木瞳さんでお二人のサヨナラ公演でした。
宝塚番は録画でしか観たことありません。
その時の主題歌はとてもよくて、今もうる覚えています。
このお話は「クリスマスキャロル」で有名なチャールズ・ディケンズの作です。
「身代わり」という言葉が思いつく。
「一粒の麦」が地上に落ちれば多くの実を結ぶ、とも感じた舞台。
特権階級が大いにのさばっているフランスで不当な罪でバスチーユに入れられたマネット医師。
医師の令嬢。令嬢と知り合う青年貴族ダーニー。医師の無実を証明しようとする青年弁護士シドニー。軸はこの4人の数奇な絡み合い。
傍若無人な性格の侯爵。マネット医師を牢獄に17年も入れたうえ、フランス民衆の憎むべき対象。
その侯爵をうんざり思い、フランスを出て行こうとする甥ダーニー。
ダーニーと出会う医師の令嬢ルーシー。次第に惹かれ合い結婚までする。
医師の弁護をしながらルーシーに密かに惹かれていくシドニー。シドニーは酒浸りの弁護士。
ダーニーが侯爵の甥だと民衆にバレて捕らえられ処刑することが決定した。
愛するルーシーのためシドニーはダーニーの身代わりとなりギロチンへ向かう。
侯爵の罪が、何もしていない甥にまで及ぶほど民衆の苦しみ、誰かを生け贄にしないと収まらない時代の流れ、そのような激しさを感じる。
シドニーは変わった。
自分の存在が愛する人とその家族を救えるなら、進んで身を投げ出す。そのようなことができるのは本当に大事な人を見つけたから。
その人が笑顔になるようなことをしたい、ただそんな願いから。
とても純粋で貴い行為だと思う。ルーシー達は忘れることはできないだろう。
感想
考えたのだけど、夫婦になる、または恋人になることだけが愛ではないと思う。
形などなかったとしても通じるものはあると思う。
それしか自分にできないのなら、究極的には相手の笑顔を望むだけ。
民衆役の濱田めぐみさん、橋本さとしさん圧倒的歌唱力。
侯爵の岡幸二郎さん、悪に徹底してる。そのほかベテラン俳優さん多数で重厚感ある舞台だった。
ルーシーは天使のような白い衣装が可憐。
祈るより術がないような、か弱く、無垢な令嬢を表現してると思う。
ルーシーはすみれさん。
なんと言っても難しいシドニーを演じた井上芳雄くんが素敵。
また一回り成長されたと思う。いつも難役を演じるが、彼のちょっとしたかわいらしさやお茶目なところが気に入っている。
また、このような人間のテーマになりうる舞台を井上芳雄くんで上演してほしい。