星組『夜明けの光芒』梅田芸術劇場公演千秋楽おめでとうございます。
「大いなる遺産」昔に読んだような気がする作品ですが、本だと難しいですね。
その当時はエステラがひたすら高慢に感じたし、宝塚のような美しく鮮やかなドレス、
エステラの髪型のきれいさ、化粧のみずみずしさなんて浮かばなかった。
ミュージカルでも難しさがありました。
この作品、登場キャストが全員すごい。私はこの作品から性善説を感じます。
後の教育や環境で悪に染まるし、それでも人間はやり直せる、その瞬間から。
宝塚版はいいですね。ピップは愛する人を守るカッコイイ男にできあがってる。
感想
ピップ 暁 千星
紳士修行と言うにはとんでもない背景が。謎の恩人の遺産によって紳士へと変貌する過程。
ミス・ハヴィシャムの過去を知ったら、彼女は全男性を憎んでいるんじゃないか、とは
思わないのでしょうか。また、富についても学びます。
ジョー・ガージャリーとの家族の絆、それがあったのに、外部の富や地位よりも内面の成長と
人間関係の価値を重視することを学びます。人生の真の豊かさはジョーが教えてくれます。
エステラとの出会いから、彼女への片思いで階級差、貧困、教育の重要性を感じます。
ピップから人生の真の豊かさが何であるか、それを考えさせられました。
難しい人物に挑戦したアリちゃん、お疲れ様でした。東京も深めてくださいませ。
エステラ 瑠璃 花夏
美しく高慢なエステラですが、彼女にも同じように成長譚です。ピップはいつかエステラに
本当の父のこと、ミス・ハヴィシャムの悲劇を伝えるのでしょうか。それとも、生涯幸せに
暮らすでしょうか。本では結ばれない二人。エステラは花のようにきれいで見惚れます。
ジョー・ガージャリー 美稀 千種
ピップの味方で筋が通ってる。お金の使い道を知っている。
妻ジョージアナ・マライア・ガージャリーが先に逝ってよかったです。偉い夫です。
エイベル・マグウィッチ 輝咲 玲央
ジョーと同じように筋が通っている。キーマン。外見や地位だけで人を判断することの危険性
を警告しているよう。
コンペイソン 夕渚 りょう
マグウィッチとの死闘は見どころ。コンペイソンを見ると性悪説を信じたくなりますが、
彼も育ちと社会によってこうなったのでしょう。
ミス・ハヴィシャム 七星 美妃
病人のように白い老婦人ですが、きれいにされていました。声がきれいです。
彼女に誰か慰める方がいれば、エステラのような娘も現れなかったでしょう。気の毒な老女。
ジャガーズ 朝水 りょう
この時代の一番現実的で有効な職業の一つ、弁護士。悪いやつがたくさん登場する中、
守秘義務を守る筋の通った人物。仕事とはいえ、この人の存在にも心救われます。
ベントリー・ドラムル 天飛 華音
ピップの内面であり、物語人物としても登場。ベントリーを撃退することでピップは、
自分自身との和解を通じて、人生の真の豊かさが何であるかを理解します。
ベントリーの存在が物語をわかりやすくしました。
エステラ(少女)乙華 菜乃、ピップ(少年)に藍羽 ひより
思春期のピップとエステラとの複雑な関係、出会いの性善説を象徴する存在に感じました。
思い出すように登場し、友情や愛情の発見、人間関係の重要性であったり、
変わることはできる、そんな風に感じました。
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