『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』、『Fashionable Empire』
東京公演、念願の千秋楽。手放しにおめでとうございます、といってよいのか。
ひとまずお疲れ様でした。
退団者のご挨拶にもありましたが、大階段を降りて退団できてよかった。
挨拶なし、公演なしで辞めていくより、感謝の気持ちを伝えてご卒業できてよかったです。
私も配信を食い入るように見ていました。
お芝居の感想は、もっと深掘りして見たいのに1回だけでは、
あまりにもサラッと通りすぎてしまう。公演がこの回しかないというのは、
改めてもったいないことなのですね。
リストとマリーとの関係、ジョルジュ・サンドという一個人が特に印象に残りました。
感想
リスト 柚香 光
リストには色々な顔があったと思いますが、本作ではピアニストのリストとして華やかな部分が多かった。
超絶的な技巧を持つ当時最高のピアニストで「ピアノの魔術師」と呼ばれ、どんな曲でも初見で弾きこなした。
マリーとの関係は最初は何もかも捨てたら続くと思えたのに、
心が命ずるままに生きると、すれ違う部分が生まれるのでしょうか。
もっとお互い早くに理解し合え鱈と思いました。
マリー 星風 まどか
女性が、自分の意見を言ったり職業をもったりするのが異端児扱いされていた貴族社会で
マリーは、伯爵夫人でありながらジョルジュ・サンドに近い感覚をもっていたのでは。
政略結婚は家同士を強固にしますが、マリーには愛してくれる場所、恋愛が必要だったのでは。
今のまどかちゃんならではの表現で難しいマリーの気持ちを表していました。
ショパン 水美 舞斗
同じ時代に同じパリに住み、しかも親しい友人同士だっだというのは非常に興味深いです。
柔らかい表情で演じた水美さん。
対照的な二人のように作っていましたが、当時は世の人気を2分したのでしょう。
リストは時代の流れの王道を行く当時の正統派、圧倒する技術であるのに対し、
ショパンはリストのように超絶技巧を全面に押し出すような演奏ではなく、
ショパンの演奏はもっと繊細で柔らかい感じですね。
ショパンとジョルジュ・サンドの関係だけでも、もう少し知りたいと思うほど。
若くして亡くなったショパンと、晩年も指揮者や指導者として活躍したリストとも対照的。
ジョルジュ・サンド 永久輝 せあ
本作で一番注目してしまいました。
男爵夫人で既婚歴もあり、なのにかなり変わっている人物。
肉食女子というべきか…
永久輝さんのサンド、魅力的過ぎました。
微笑みやまなざしが女性でありながら格好良すぎ。発言も行動も自由すぎる。
今の時代だって、なかなかいません、こんな女性。
当時の貴族の主人と奴隷のような「結婚制度」の、どこに愛情が?
これはマリーと共有事項でしょうか。
“真実の愛”に到達したいと考えていたのでしょうか。
あなたを尊敬する、でも隷属はしない。リストが先でショパンが後の恋人というのも
初めて知りました。
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