日本物の花組誕生!『MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−』感想

『MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−』は久しぶりにオリジナル作品で、しみじみよかったですねー。
天草側は九州の広い海と天草の温暖豊な情緒あふれるセット。
実物、架空の人物を交えてドラマティックな作品に仕上がってます。
島の人々は信仰を通じて一つになり、涙涙の場面がありました。

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感想

天草四郎時貞  明日海 りお

異聞というのでどんなことかと思ったら、出生をあやふやにしてまったく外部の者がメサイアとなる仮定。
だからこそ、島民のすばらしさに気づき引き出したという解釈をしました。
夜叉王がだんだん四郎になって自然とリーダーになり率いていくのを、さらりと演じるのが、
明日海さんうまいなーと思いました。
明日海さんの民を見る目が優しくて労わっていて、それがトップスターと重なり涙。
「内なる神」という言葉にも涙。
内なる神を信じて善行を行う、これが一番大事なのでは??

流雨  仙名 彩世

可愛らしいだけでなく、しっかりと民に寄り添っているのが流雨の素敵なところ。
ゆきちゃんの雰囲気でしか出せない感じですねー。マリア様のように優しいまなざしも好き。
戦いの日、四郎に「どこまでもついていく」と言ったのがトップ娘役として覚悟と重なり、好感もてました。
急速に四郎に惹かれていく感じです。
ラブ要素は薄いけど、一瞬心が通ったかもしれない、という感じが日本人ならではかも…

山田右衛門作  柚香 光

苦しいお役。
実在とのことですが、本物さんもきっと過去を背負う辛さはいかほどでしょうか。
ビジュアルも素敵で、それが苦しみもがいてるのをより美しく映します。

益田甚兵衛   一樹 千尋

ヒロさんの温かさが涙を誘います。
「神を信じなければ、生きてこれなかった」
本当に、飢えと拷問の恐怖におびえる島民を守ろうとする長老的なお役。
ヒロさんの目にキラキラ光るものが…
本当に存在がすばらしいです。宝塚の宝です。

渡辺小左衛門 瀬戸 かずや

皆のリーダー的存在で、親しみやすく頼りになる兄さん。
あきらさんの温かい部分が全開です。
少しお痩せになったような小顔でジンベイ姿も粋でした。

松倉勝家    鳳月 杏

思っていたよりひどく高圧的ではなかったです。宝塚だからオブラートに包んでますね。
始終冷たい雰囲気は出していました。

松平信綱   水美 舞斗

今回、特記すべきはマイティです!
正直、こんなに芝居がうまい人と思わなかったです。
殿さま衣装の着こなし、鬘、化粧が美しすぎる!!
将軍と部下のパイプで官房長的な役ですが、島原鎮圧について政治的判断と個人的心情は別、
のような解釈をしました。
徳川が傾くような事件はつぶさざるを得ない、しかしその背景は食うや食わずの状態で仕方なかった。
それは、松倉をまず弾圧しようよ、と思うのですけどね。今の感覚ならば。

徳川家光    紅羽 真希

この方も今回初めて注目しましたー。
とても品がいい。家光は生まれながらの将軍という自負がある。
しかしながら絶対今の地位を奪われたくはないと思うのです。
あまり感情を大きく動かさないのも、将軍らしく見えました。

小平  華優希

元気いっぱいな男子。その元気さが後々悲劇を深める感じです。
化粧も工夫していました。やっぱり華やかな容姿が目をひきます。

弥一  音 くり寿

くりすちゃんの少年も良かったです。益々化粧がうまくなった感じです。
小平と弥一がとても目立った気がします。
表情もとてもいいです。

まとめ

飢餓や圧政に苦しみのない「自由と平等」の名のもとに戦った島民。
近代的な考え方は現代の私たちには理解できます。

しかし、幕臣たちの不安もわかります。
時代が早かったというか、幕府は3代将軍になってまだ安定していない時代。
好きなように生きることを許せば、下剋上にもなりかねず、戦国時代に戻るかもしれないという幕府側の思い。

領主松倉が良い殿様だったら…
歴史は明らかに変わっていました。天草四郎もこんなに有名でなかったろうし、
キリシタンの結束もこれほど強い絆で結ばれていることもなかかもしれません。

圧倒的な数の差で負けるとわかっていても、ここが墓場と知りながらも、
落伍者が出なかった天草の乱。
これは、幕府にとって本当に脅威だったと思います。

あらためて、歴史の勉強になるとともに、信じる力の大切さを感じました。

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