和希さん版『心中・恋の大和路』配信楽しみにしておりました。
美しい和希さんの日本もの化粧に見とれ、食い入るように物語に入っていきました。
やっぱり、追加公演は簡単なことではなかったのですね。
終演ご挨拶で和希さんの思いを垣間見るようでした。
このお話は、孫右衛門（汝鳥 伶さん）の一言に尽きると思いました。
それができれば（別れること）、こうはなってなかった（逃亡せずに済む）
本当に、お金がある人だけができる身請け。
遊女の方も男が破滅する前に止めるのが人情ってものだけど、
それができれば、こうはなってなかった、のですね。
キャスト一人一人が丁寧な芝居で情緒溢れるお芝居でした。
感想
亀屋忠兵衛 和希 そら
和希さん忠兵衛は、はんなりと色気のある若旦那で、江戸の色町にいそう！
亀屋は番頭とご隠居によって取り締まっているのだと思いました。
忠兵衛は養子にもらわれたのだから、仕事ができると見込まれてると思いきや、
物語上では恋にほだされて、犯罪を犯してもはや退けぬところまでいく。
同情の余地のない主人公なのですが…
人情で忠兵衛を見逃しても、自然や環境が制裁を下して死に追いやる。
それを忠兵衛もわかっていたのかもしれません。
それでも、二人であれば死ぬことも幸せだったということでしょうか。
もっと他に方法が合ったと思うと悲しい話でした。
梅川 夢白 あや
容姿も声も華奢過ぎて、梅川の儚げなイメージぴったりでした。
不健康さが美人をより美人に映す。
声も高音はかすれるようで、心労と常に不安を抱える梅川なのかと思いました。
夢白さんは自信家の花魁というより、いい意味で下級の遊女が似合う色気があります。
悲しげで、男性が守ってあげたくなるような。
お金持ちからの身請けを夢見る遊女がたくさんいたのでしょう。
丹波屋八右衛門 凪七 瑠海
私のヒーローは八右衛門なんです。
自分の懐を痛めても、心を踏みにじられても、友を尊重し一時しのぎでも生かしたいと思う。
配下の者にも優しく、的確に指示しリーダシップもある。身分相応の遊び方をする。
カチャさんの八右衛門、最高です。
カチャさんの姿勢、発声、歌も一本通ってらして、安定しているのが八右衛門と重なります。
こんな友人いたら頼もしいし、この話では間違いなく一番いい人間と思います。
孫右衛門 汝鳥 伶
出番が１場面でも、物語を要約するような人物。
わかっていても、それができなかった、それが人情、ということでしょうか。
汝鳥さんに言われると、そうかもしれないと納得してしまいそうです。
番頭・伊兵衛／忠三郎 真那 春人
番頭として出番が多く、亀屋の番頭は使用人には細かくチェックしているが、
旦那へは意見していない、ちょっと弱めの番頭に感じました。
もっと番頭がしっかりしていれば、横領されなかったのでは？
忠兵衛の友人忠三郎も、八右衛門ほど忠兵衛をかばう感じに見えませんでした。
真那さんならば、もう少し個性強めに出してもよかったのでは？
かもん太夫 妃華 ゆきの
華やかで優雅で絶対的憧れの太夫。梅川と対極にいる太夫。
衣装もカツラも華やかで、宝塚娘役だからこそ、こんなに美しい花魁が似合うのでしょう。
花魁中の花魁。
太夫とは、吉原で最高の位の遊女。旗本や大名とも応対が出来る程の、高い教養。
そして数々の芸事に精通していた、眺めることだって普通はできそうにないですね。
太夫classだと身代金は千万以上と思うのですが、忠兵衛達は３００両のお金の工面で死んで
しまったことを考えると、誰が太夫を身請けしたか気になってしまいました。
与平 諏訪 さき
ともすると、忠兵衛と同じ道に行きそうだった手代の子ですが、
引き戻って安心しました。
一幕の諏訪さんの歌を二部ではカチャさんが歌ったと思うのですが、
二人とも同じ歌に聞こえなかったです。カチャさんは悔しさや怒りが滲んでいたような。
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